代表の佐々木です。
高圧設備のご相談を受けていると、
「キュービクルがかなり古いんですが、このまま使っていて大丈夫ですか?」
という質問をいただくことがあります。
非常に難しい質問です。
なぜなら、
「古い=すぐに全部交換」
とも言えませんし、
「今まで問題なく使えている=これからも大丈夫」
とも言えないからです。
実際、私はかなり年数が経過したキュービクルを見ることもあります。
40年、50年近く経過しているような設備を見ることもあります。
だからといって、
「キュービクルは50年使えます。」
とは考えていません。
大切なのは年数だけではありません。
設備の状態。
点検結果。
各機器の状態。
現在の電気使用状況。
そして今後、その建物や工場をどう使っていくのか。
こうした情報を組み合わせて考える必要があります。
■結論:キュービクルの更新時期は「古さ」だけでは判断できません
最初に結論からお伝えします。
古いキュービクルをこのまま使い続けられるかどうかは、年数だけでは判断できません。
私が大切だと考えているのは、主に次の5つです。
1.現在の設備状態
2.点検・試験結果
3.主任技術者からの指摘内容
4.現在の電気使用状況
5.今後の事業計画
この5つを確認した上で、
「今、何をするべきなのか。」
を考えていくことが重要です。
選択肢は、キュービクルを丸ごと更新することだけではありません。
設備状態によっては、
必要な機器を更新する。
優先順位を付けて段階的に更新する。
今後も高圧受電を継続する。
条件が合えば低圧化を検討する。
こうした選択肢もあります。
つまり重要なのは、
「古いから交換するか。」
ではなく、
「現在の会社にとって、どの設備計画が適しているのか。」
を考えることだと思っています。
■1.まず現在の設備状態を見る
一番最初に確認したいのは、当然ですが設備そのものです。
キュービクルと一言で言っても、中にはさまざまな機器があります。
変圧器。
コンデンサ。
LBS。
高圧ケーブル。
その他の高圧機器。
さらに受電設備全体で考えれば、PASなども関係してきます。
それぞれ状態が違います。
だから、
「キュービクルが古い。」
という一つの情報だけで設備全体を判断するのは難しいのです。
何が古いのか。
どの設備に問題があるのか。
どこを優先して考える必要があるのか。
設備ごとに整理していくことが大切です。
■2.点検・試験結果を確認する
高圧設備を考える上で、非常に重要なのが点検結果です。
年次点検などを実施していれば、設備についてさまざまな情報が残っています。
私はご相談をいただいたとき、
点検報告書。
機器台帳。
主任技術者からの指摘。
既存の見積書。
こうした資料があれば、できるだけ確認するようにしています。
例えば、
「設備が古いから交換を勧められている。」
という話なのか。
点検や試験の結果から更新を勧められているのか。
実際に不具合が確認されているのか。
同じ「更新してください」でも、その理由によって考え方は変わります。
まずは、
「なぜ更新を勧められているのか。」
ここを理解することが大切です。
■3.主任技術者から何を指摘されているのか
最近、弊社へいただくご相談の中でも多いのが、
「主任技術者から交換を勧められた。」
というものです。
例えば、
「高圧ケーブルを交換した方がいいと言われた。」
「LBSが古いと言われた。」
「PAS更新を勧められた。」
などです。
主任技術者からの指摘は、高圧設備を安全に維持するための大切な情報です。
ですから、まずその内容をしっかり確認します。
その上で、
「今回どこまで工事するのか。」
を考えていきます。
実際に以前ご相談いただいたお客様では、主任技術者から複数の設備更新を提案され、大きな金額の見積もりが提示されていました。
そこで弊社でも内容を確認しました。
そのケースでは、私たちはまず高圧ケーブルを優先して対応し、それ以外については段階的に更新していく方法をご提案しました。
お客様も、
「そうだよね。」
と納得してくださり、正しい経営判断につながると喜んでいただけました。
ここで大切なのは、
「全部交換しなくていい。」
ということではありません。
設備状態によっては、一括更新した方が適切な場合も当然あります。
大切なのは、
「何を、なぜ、いつ交換するのか。」
を整理することです。
■4.現在どれくらい電気を使っているのか
ここは、私たちがかなり重要だと考えているポイントです。
なぜなら、
キュービクルを更新するかどうかを考える前に、
「そもそも今後も高圧受電を続ける必要があるのか。」
を確認した方が良いケースがあるからです。
最近、実際にこうしたご相談が増えています。
以前は工場として使用していた。
しかし現在は倉庫になっている。
以前より電気を使わなくなった。
大型設備を撤去した。
事業内容が変わった。
こうした会社では、現在の電気使用状況と高圧設備が合っていない可能性があります。
その場合、
高額な費用をかけてキュービクルを更新する前に、
「低圧化できる可能性はないか。」
を検討する価値があります。
■実際に「更新したい」という相談から低圧化の話になったことがあります
最近、実際にあったご相談です。
お客様から、
「高圧設備が古くなってきているので更新したい。」
というお問い合わせをいただきました。
そこで、まず資料を確認しました。
すると、資料を見る限りでは、
「現在の使用状況なら、低圧化も検討できる可能性があるのではないか。」
と感じました。
そこで私は、
「更新だけではなく、低圧化という選択肢もあるかもしれません。一度現場をしっかり確認させてください。」
とお伝えしました。
お客様からは、
「ぜひ、しっかり現場を見に来てほしい。」
と言っていただきました。
私は、このような提案が専門店として大切だと思っています。
お客様が、
「更新したい。」
と言っているから、そのまま更新見積もりを作る。
それだけではなく、
「本当に更新が最適なのか。」
を一度考えてみる。
工事を売ることより、お客様にとって適切な方法を考える。
それが私たちの仕事だと思っています。
■5.今後、その会社がどうなっていくのか
最後が、今後の事業計画です。
私はここを非常に大切にしています。
例えば現在の電気使用量だけを見ると、
「低圧化できそうだ。」
となったとします。
しかし、
来年、大型設備を導入する。
工場を増設する。
新しい生産ラインを作る。
事業を拡大する。
こうした予定があるなら話は変わります。
実際に弊社では最近、低圧化工事を受注する一方で、事業拡大に伴う高圧設備の新設工事も受注しています。
一方では高圧をやめる。
もう一方では高圧を新しく作る。
正反対の工事です。
でも私は、どちらも同じ考え方だと思っています。
会社が変われば、必要な電気設備も変わる。
だから、
「高圧が良い。」
「低圧が良い。」
ではありません。
「その会社の現在と未来に、どちらが合っているのか。」
ここが重要です。
■古いキュービクルは「全部更新」か「そのまま使う」かの二択ではありません
キュービクルが古くなってくると、
「全部新しくする。」
または、
「高いから、まだ使う。」
この二択になってしまうことがあります。
私は、その間にも選択肢があると思っています。
例えば、
優先度の高い設備から更新する。
段階的な更新計画を作る。
高圧受電そのものを見直す。
条件が合えば低圧化する。
設備状態によっては一括更新する。
大切なのは、最初から答えを決めないことです。
■キュービクル更新費用が高額なら、一度立ち止まって考える
高圧設備の更新は、大きな設備投資になることがあります。
私は経営者でもあるので、ここはお客様と同じ目線で考えたいと思っています。
安全に必要な設備には、きちんと投資する。
これは大前提です。
一方で、
本当に今必要なのか。
全部同時に必要なのか。
段階的にできないのか。
低圧化できないのか。
将来の事業に合っているのか。
こうしたことも確認する。
必要なところには投資する。
でも、必要以上の設備投資をして会社の資金を減らす必要はない。
設備の安全と会社経営。
私は、この両方を見ることが大切だと思っています。
■キュービクルを低圧化すると、スペース活用につながることもあります
最近は、低圧化について少し違ったご相談もありました。
「キュービクルを撤去して、そのスペースを駐車場として使いたい。」
というものです。
これは電気料金や更新費用だけではなく、
「会社の土地をどう使うか。」
という話です。
高圧受電を廃止できる条件が整えば、不要となったキュービクルを撤去できる可能性があります。
そして、撤去後のスペースを別の用途で活用する。
こう考えると、
低圧化は単なる電気工事ではありません。
設備投資。
維持管理。
今後の電気使用。
敷地利用。
こうしたことをまとめて考える経営判断にもなります。
弊社では、低圧化に必要となる電気工事だけではなく、不要となった高圧設備の撤去から撤去後の復旧まで対応しています。
■よくある質問
Q. キュービクルが古いのですが、すぐ交換した方がいいですか?
年数だけで一律に判断することはできません。設備状態、点検・試験結果、主任技術者からの指摘などを確認した上で判断することが大切です。
Q. キュービクルは何年使えますか?
設備の状態や使用環境、保守状況などによって異なるため、「何年なら必ず使える」と一律には言えません。年数だけではなく、実際の設備状態や点検結果を確認する必要があります。
Q. キュービクル全体ではなく、一部だけ交換できますか?
設備構成や状態によっては、一部の設備を優先して更新できる場合があります。一方で、一括更新が適しているケースもあるため、個別の確認が必要です。
Q. 更新見積もりが高い場合、他社へ相談しても大丈夫ですか?
もちろん大丈夫です。相見積もりの場合は金額だけではなく、交換する設備や工事範囲などの条件も確認して比較することが重要です。
Q. 古いキュービクルを更新せず、低圧化することはできますか?
現在の電気使用状況、設備構成、今後の事業計画などの条件によっては、低圧化を検討できる場合があります。現地調査などを行った上で判断します。
Q. 点検報告書や見積書だけでも相談できますか?
もちろんです。まず資料を確認し、現状を整理するところからご相談いただけます。必要に応じて現地調査を行います。
■高圧設備は「緊急ではないけれど重要」になりやすい
高圧設備は、会社経営の中では少し特殊な存在だと思っています。
日々の売上を直接生み出す設備ではありません。
そして、正常に動いている間は存在を意識することも少ない。
だから、
「まだ動いているから。」
「今年じゃなくてもいいかな。」
となりやすい。
私は、高圧設備は、
「緊急ではないけれど重要。」
になりやすいものだと思っています。
問題が起きてから考えるのではなく、問題が起きていないときに計画する。
今年は何をするのか。
来年は何をするのか。
数年後にはどうするのか。
高圧を維持するのか。
低圧化するのか。
会社の事業計画と一緒に考えておく。
そうすれば、突然大きな設備投資が必要になるリスクを少しでも減らしていけると思います。
■私たちは「工事を売る会社」ではなく「一緒に考えられる会社」でありたい
私たちが目指しているのは、
「キュービクルを交換する会社。」
だけではありません。
お客様から、
「これってどうしたらいい?」
と相談していただける会社です。
設備が古い。
主任技術者から指摘された。
見積もりが高い。
PCBについて分からない。
低圧化できるか知りたい。
工場を新設したい。
キュービクルを撤去したい。
まだ工事内容が決まっていなくても構いません。
まず状況を整理する。
必要であれば現場を見る。
そして選択肢を考える。
私は、
「電気設備のかかりつけ医」
のような存在になりたいと思っています。
■まとめ|「古いから更新」ではなく「これからどう使うか」まで考える
古いキュービクルをこのまま使い続けられるか。
これは年数だけでは判断できません。
確認したいのは、
1.現在の設備状態
2.点検・試験結果
3.主任技術者からの指摘内容
4.現在の電気使用状況
5.今後の事業計画
です。
その上で、
一括更新する。
必要な設備だけ更新する。
段階的に更新する。
高圧を継続する。
低圧化を検討する。
会社に合った設備計画を考えることが大切です。
高圧設備は、安全に関わる重要なインフラです。
だから、必要な投資はきちんと行う。
しかし、
「古いと言われたから全部交換する。」
だけではなく、
「なぜ交換するのか。」
「いつ交換するのか。」
「今後もこの設備が必要なのか。」
まで考える。
それが、納得できる設備投資につながると思っています。
もし、
「キュービクルが古いと言われているけど、何から考えればいいか分からない。」
「主任技術者から更新を勧められた。」
「更新見積もりが高額で判断できない。」
「低圧化できるのか知りたい。」
という状況でしたら、工事を決める前でも構いません。
点検報告書や既存の見積書があれば、まずそこから一緒に整理していきましょう。
お客様にとって本当に必要な設備は何なのか。
その答えを一緒に考えられる会社でありたいと思っています。
私たちはこれからも、日本のインフラを支える力として誠実施工を貫き、お客様が安心して電気を使える環境を届けてまいります。
古いキュービクル、このまま使い続けて大丈夫?更新する前に確認したい5つのこと
- 2026/09/03
古いキュービクルをこのまま使い続けて大丈夫なのか、更新時期をどう判断すればいいのかお悩みではありませんか。 今回は、キュービクル更新を決める前に確認したい5つのポイントと、更新・段階更新・低圧化などを判断する際の考え方についてお伝えします。