キュービクルや高圧受電設備が古くなり、「何年使えるのか」「そろそろ更新すべきか」とお悩みの方へ。今回は、実際の設備相談や現地調査をもとに、設備年数だけで更新を判断しない理由と、点検結果・劣化状況・優先順位から計画的な更新を考える方法をお伝えします。

代表の佐々木です。
高圧受電設備についてご相談をいただく中で、よく出てくる疑問があります。
「このキュービクル、あと何年使えますか?」
経営者の方からすれば、当然気になることだと思います。
設備が古くなってきた。
主任技術者から更新について話があった。
見積もりを取ったら想像以上に高かった。
でも、今は普通に電気を使えている。
そうなると、
「結局、いつまで使えるの?」
と思いますよね。
ところが私は、この質問に対して単純に、
「○年経ったから交換です。」
という答えだけで判断するのは難しいと思っています。
なぜなら、実際の現場を見ていると、同じような年数が経過している設備でも状態は一つひとつ違うからです。
私たちが実際に見てきた中には、40年、50年と使用されているキュービクルもあります。
だからといって、
「キュービクルは50年使えます。」
とお伝えするつもりはありません。
大切なのは、何年使ったかだけではなく、
「その設備を、これまでどう管理してきたのか。」
ということだと思っています。
年数だけでキュービクルの状態は判断できません
例えば、同じ年数が経過した二つの設備があったとします。
一方は、定期的に保守点検を実施している。
指摘を受けた設備については、その都度必要な対応をしている。
設備周辺も整理され、きれいに管理されている。
もう一方は、長期間ほとんど手を入れていない。
汚れやサビが目立つ。
不具合の指摘があっても後回しになっている。
この二つを、
「どちらも同じ年数だから同じ状態です。」
とは考えにくいですよね。
私は設備を見に行くと、機器だけではなく、汚れやサビ、整理整頓の状態なども気になります。
設備が整っている会社へ伺うと、
「しっかり管理されている会社だな。」
という印象を受けることがあります。
もちろん、見た目だけで設備の安全性を判断することはできません。
ただ、設備を大切に扱う姿勢は、日常管理のさまざまな部分に表れるものだと感じています。
「まだ電気が使えている」は判断材料の一つにすぎません
高圧設備の更新が進みにくい理由も、私はよく分かります。
今、電気が使えているからです。
工場は動いている。
店舗も営業できている。
事務所の電気も普通についている。
何も困っていない。
そうすると、
「今すぐやらなくてもいいかな。」
という判断になりやすい。
しかも、高圧設備は高額です。
キュービクルだけではありません。
変圧器。
コンデンサ。
PAS。
LBS。
高圧ケーブル。
一つひとつの機器や電材にも費用がかかります。
目の前で問題が起きていない設備へ大きなお金を使うことに、経営者の方が慎重になるのは当然だと思います。
私も経営者ですから、その気持ちはよく分かります。
だから、私たちも闇雲に、
「古いから全部交換しましょう。」
とは言いたくありません。
ただし、
「電気が使えているから何もしなくていい。」
とも考えていません。
ここが非常に重要です。
高圧設備は「緊急ではないけれど重要」になりやすい
私は以前から、高圧受電設備は、
「緊急ではないが、重要度の高い設備」
だと考えています。
問題なく動いている間は、緊急性を感じにくい。
しかし、会社にとっての重要度は高い。
ここが、高圧設備の難しいところです。
電気設備に問題が起きて、工場そのものが動かなくなったらどうなるでしょうか。
生産が止まる。
業務が止まる。
予定していた仕事ができなくなる。
さまざまな影響が考えられます。
だからといって、不安をあおって工事を勧めたいわけではありません。
むしろ逆です。
そうならないために、
「問題が起きていない今のうちに、状況だけでも把握しておきませんか。」
とお伝えしたいのです。
実際に「全部更新しなくてもいいのでは」とご提案したことがあります
先日、キュービクル更新について相談したいというお客様のところへ伺いました。
そのお客様は、主任技術者による保守点検をきちんと実施されていました。
そして設備について更新の提案を受け、すでに見積書も提示されていました。
ところが、その見積金額がかなり大きかった。
そこで、
「本当に今、この内容を全部やる必要があるのだろうか。」
ということで、私たちへご相談いただきました。
資料や内容を確認すると、私たちとしては、まず高圧ケーブルを優先して対応し、それ以外については段階的に更新していく方法でも良いのではないかと考えました。
そこで、その考えをお客様へお伝えしました。
すると、
「そうだよね。」
と納得してくださり、
「これなら正しい経営判断ができる。」
と喜んでくださっている様子でした。
私は、この言葉が非常に嬉しかったです。
私たちが提供したかったのは、
「安い工事」
ではありません。
お客様が納得して判断するための情報です。
キュービクル更新は「全部かゼロか」で考えなくてもいい
設備更新を考えるとき、
「全部交換する。」
「何もしない。」
この二択になってしまうことがあります。
でも実際には、その間があります。
今、優先する設備を更新する。
その他は点検を継続する。
将来的な更新時期を考える。
予算を確保する。
順番に設備を更新していく。
こうした段階的な考え方ができるケースもあります。
もちろん、設備の状態によっては一括更新が必要になることもあります。
そこは現場を確認しなければ分かりません。
だからこそ、
「○年だから交換。」
という一つの数字だけではなく、
設備の状態。
点検結果。
主任技術者からの指摘。
使用状況。
会社の事業計画。
こうした情報を合わせて考える必要があります。
段階更新と「ただの先送り」は違います
ここは誤解してほしくない部分です。
「今全部やらなくてもいい。」
ということと、
「何もしなくていい。」
ということは違います。
必要性を確認した上で、
「これは今年。」
「これは次の計画。」
「ここは点検結果を見ながら判断。」
と整理するのが段階更新です。
一方、
「まだ動いているから。」
という理由だけで何年も放置する。
これは計画とは言えません。
私は、設備の更新を後回しにすること自体を責めるつもりはありません。
高圧設備には大きなお金がかかります。
会社の状況によっては、すぐに投資できないこともあります。
その判断はよく分かります。
だからこそ、
「やらない。」
ではなく、
「いつ、どうするか。」
まで考えておく。
これだけでも大きく違うと思っています。
そもそも高圧設備を更新しない方がいい場合もある?
ここでもう一つ考えていただきたいことがあります。
それは、
「今後も本当に高圧受電を続けるのか。」
ということです。
最近、私たちのところでは低圧化のご相談が増えています。
実際に低圧化工事を受注する機会も増えました。
以前は多くの電気を使っていた。
でも現在は設備が減った。
工場として使っていたが、今は倉庫になっている。
事業内容が変わった。
このような会社の場合、高圧設備をそのまま更新する前に、
「現在の電気使用状況なら、低圧化できないだろうか。」
という視点を持つこともできます。
実際、最近も、
「高圧設備が古くなってきたので更新したい。」
というご相談をいただきました。
資料を確認すると、低圧でも対応できる可能性が考えられたため、そのことをお伝えしました。
するとお客様から、
「ぜひしっかり現場を見に来てほしい。」
と言っていただきました。
もちろん、資料だけで低圧化できると断定することはできません。
現地調査が必要です。
ただ、
「更新するしかない。」
と思っていたところに別の可能性をお伝えする。
これも専門店としての役割だと思っています。
反対に、高圧設備を新しく導入する会社もあります
一方で、最近は事業拡大に伴う高圧設備の新設も受注しました。
これは低圧化とは正反対です。
でも、考え方は同じです。
電気をあまり使わなくなった会社なら、設備を見直す。
これから事業を拡大して電気を多く使う会社なら、それに合った設備を整える。
高圧が良い。
低圧が良い。
という話ではありません。
「今の会社と、これからの会社に合っているか。」
ここが大切です。
設備の年数よりも「これからどうするか」を考えてほしい
キュービクルが古くなってくると、
「あと何年使えるのか。」
が気になると思います。
その気持ちはよく分かります。
しかし、私はそれと同時に、
「これからこの会社では、どのように電気を使っていくのか。」
も考えていただきたいと思っています。
今の事業を続けるのか。
設備を増やすのか。
減らすのか。
工場から倉庫へ変わるのか。
事業を拡大するのか。
こうした将来によって、設備投資の答えも変わります。
だから設備更新は、工事だけの話ではありません。
経営の話でもあります。
設備更新の見積もりが高いと感じたら
もし今、
主任技術者から更新を勧められている。
キュービクル更新の見積もりを受け取った。
思っていた以上に高額だった。
そんな状況であれば、まず内容を整理してみてください。
何を交換するのか。
なぜ交換するのか。
どの設備を優先するのか。
一括更新が必要なのか。
段階的な更新はできないのか。
今後も高圧受電を続けるのか。
ここまで整理すると、単純に、
「高いか、安いか。」
だけではない判断ができるようになります。
相見積もりを取ることも、一つの方法です。
私たちは相見積もりでも問題ありません。
大切な設備だからこそ、納得した上で判断していただきたいと思っています。
私たちが目指しているのは「電気設備のかかりつけ医」
私は、お客様から、
「御社に頼んで良かった。」
「助かったよ。」
「ありがとう。」
と言っていただけることが、本当に嬉しいです。
工事が終わったことだけではなく、
「相談して良かった。」
と思っていただける会社でありたい。
だから私たちは、高圧工事専門店として技術を高めることはもちろん、情報提供の質も高め続けたいと思っています。
工事をする。
それだけではありません。
設備について一緒に考える。
見積もりを整理する。
更新の優先順位を考える。
低圧化の可能性を調べる。
新設設備を考える。
必要であれば、補助金などについても私たちにできる範囲で情報を調べて共有する。
できないことは、できないと正直にお伝えする。
その上で、私たちにできることには最善を尽くす。
そんな「電気設備のかかりつけ医」のような存在を目指しています。
最後に
「キュービクルは何年使えますか?」
この質問に、すべての設備へ共通する一つの年数だけで答えることはできません。
設備の状態は、一社一社違うからです。
だからこそ私たちは、
年数だけを見るのではなく、
点検結果を見る。
設備を見る。
これまでの管理状況を見る。
現在の電気の使い方を見る。
そして、会社のこれからを見る。
その上で、
「今、何をするべきなのか。」
を一緒に考えたいと思っています。
全部更新することが最善なら、そうお伝えします。
段階更新が考えられるなら、その方法をご提案します。
低圧化の可能性があるなら、それもお伝えします。
高圧設備が必要なら、適切な設備計画を考えます。
私たちの目的は、高圧設備を売ることではありません。
お客様が安心して電気を使い、納得できる設備投資を行えるようにすることです。
設備が古くなってきて、
「そろそろ何か考えた方がいいのかな。」
と思ったとき。
その段階で構いません。
ぜひ一度ご相談ください。
私たちはこれからも、日本のインフラを支える力として、技術と情報の質を磨きながら、お客様が安心して電気を使い続けられる環境づくりに貢献してまいります。