最近、高圧受電設備から低圧への切り替え相談が増える一方、事業拡大に伴うキュービクル新設のご依頼もいただいています。高圧と低圧のどちらが良いのかではなく、現在の電気使用量や将来の事業計画に設備を合わせる重要性を、高圧工事専門店の実例をもとにお伝えします。
最近、私たちのところへいただくご相談を振り返っていて、対照的だなと感じることがあります。
一方では、
「高圧受電をやめて低圧にできませんか?」
というご相談が増えています。
実際、最近は低圧化工事を受注する機会も増えてきました。
ところが、その一方では、
「事業を拡大するので、新しく高圧受電設備を導入したい。」
というご相談もいただき、実際に高圧新設工事をご依頼いただいています。
高圧から低圧へ変える会社。
低圧では足りなくなり、新しく高圧設備を導入する会社。
やっていることだけを見れば、正反対です。
しかし、私はどちらも同じことだと思っています。
それは、
「会社の現在と未来に、電気設備を合わせる」
ということです。
最近のご相談を通じて、改めてこの考え方の大切さを感じています。
高圧と低圧、どちらが良いという話ではありません
まず最初にお伝えしたいのは、高圧受電と低圧受電のどちらが優れている、という単純な話ではないということです。
必要な電力は会社によって違います。
工場なのか。
倉庫なのか。
店舗なのか。
事務所なのか。
使用している機械は何なのか。
今後、新しい設備を導入する予定があるのか。
現在の事業規模を維持するのか。
これから事業を拡大するのか。
こうした条件によって、必要となる電気設備は変わります。
だからこそ私たちは、
「高圧だから良い。」
「低圧だから安い。」
という単純な考え方ではご提案していません。
お客様の現在の状況と、これからを確認する。
そこから考えます。
最近、低圧化のご相談が増えています
実際に最近多いのが、高圧受電設備から低圧受電への切り替えについてのご相談です。
以前いただいたお問い合わせでは、
「キュービクル等の更新費用が高いので低圧化を検討しています。撤去、申請、そのための工事など、概算費用を知りたい。」
というご相談がありました。
また別のお客様からは、
「電気をそれほど使っていないので、低圧受電にできないか見てほしい。」
というご相談もいただきました。
さらに、
「PCB検査とコンデンサ更新を考えていたが、現在は倉庫として使っているだけなので、高圧電力が本当に必要なのか疑問に思った。」
というご相談もありました。
それぞれ状況は違います。
しかし、共通しているのは、
「昔と現在で、会社の電気の使い方が変わっている」
ということです。
昔必要だった設備が、今も必要とは限らない
高圧受電設備は長期間使用される設備です。
そのため、設備を導入した当時と現在では、会社の状況が大きく変わっていることがあります。
昔は多くの機械を動かしていた。
しかし現在は生産量が減っている。
以前は工場だった。
現在は倉庫として使っている。
設備を減らした。
事業内容そのものが変わった。
それでも受電設備については、昔のまま使い続けている。
このような場合、
「そもそも現在も高圧受電が必要なのか?」
というところから考えてみる価値があります。
もちろん、実際に低圧化できるかどうかは、電気使用量や設備容量、建物の状況などを確認しなければ判断できません。
だからこそ、資料だけで決めるのではなく、現地調査が重要になります。
更新相談から低圧化の可能性が見えたこともありました
最近、非常に印象的なご相談がありました。
お客様からの最初のお問い合わせは、
「高圧設備が古くなってきたので更新したい。」
というものでした。
普通に考えれば、キュービクル更新のお見積もりを作成するところから始まります。
しかし、資料を確認していると、
「現在の状況なら、低圧化も検討できるのではないか。」
という可能性が見えてきました。
そこでお客様へ、
「更新だけではなく、低圧化という方法も考えられる可能性があります。一度しっかり現場を確認させてください。」
とお伝えしました。
すると、
「ぜひしっかり見に来てほしい。」
と言っていただきました。
私は、このやり取りがとても大切だと思っています。
私たちは高圧工事専門店です。
キュービクルを更新すれば、当然そこには工事があります。
しかし、お客様にとって低圧化の方が適しているのであれば、その可能性をお伝えする。
それが専門店としての役割だと考えています。
その一方で、高圧設備を新設する会社もあります
低圧化のご相談が増えている一方で、最近は全く反対のご相談もいただきました。
工場を新設するため、新しくキュービクルを導入したいというご相談です。
さらに、事業拡大に向けた高圧新設工事もご依頼いただきました。
これは、低圧化とは正反対です。
しかし私は、ここにも同じ考え方があると思っています。
事業を拡大する。
新しい設備を導入する。
生産能力を高める。
そのために必要な電力が増えるのであれば、それに対応できる電気設備が必要になります。
つまり、
縮小したから低圧化する。
拡大するから高圧化する。
という表面的な話ではありません。
会社の事業に必要な電気を、安全に、安定して供給できる設備を考える。
ここが本質だと思っています。
電気設備は会社の事業計画と一緒に考えたい
私は、高圧受電設備について考えるとき、「設備だけ」を見るのは十分ではないと思っています。
もちろん専門店として、
キュービクル。
PAS。
LBS。
高圧ケーブル。
変圧器。
コンデンサ。
こうした設備の状態を見ることは非常に重要です。
しかし、それと同じくらい、
「会社がこれからどうなっていくのか。」
を知ることが大切です。
例えば、現在の電気使用量だけを見れば低圧化できそうだったとしても、数年後に大きな設備を導入する予定があるなら話は変わります。
反対に、これから設備を縮小していく会社に、大きな高圧設備をそのまま維持することが最適なのかは検討する余地があります。
だから私たちは現地調査の際、設備だけを見るのではなく、お客様のお話を聞くことを大切にしています。
何に困っているのか。
なぜ設備を見直したいのか。
今後どのように事業をしていく予定なのか。
そこを知らなければ、本当に良い提案はできないと思っています。
設備投資では「会社にお金を残す」という視点も重要です
そして、もう一つ。
私が設備投資のご相談を受ける中で大切だと思っているのが、会社の資金です。
高圧受電設備は高額です。
キュービクルだけではありません。
高圧ケーブル、変圧器、コンデンサ、PAS、LBSなど、一つひとつの機器や電材にも費用がかかります。
だからこそ、
「必要だから全部交換しましょう。」
だけでは、お客様に寄り添った提案にはならないと思っています。
以前、キュービクル更新のご相談で現地へ伺ったお客様では、主任技術者から複数設備の更新提案を受け、大きな金額の見積もりが提示されていました。
しかし内容を確認すると、すべてを同時に更新するのではなく、まず優先すべき設備から対応し、その後は段階的に更新していくという方法も考えられる状況でした。
そこで、段階的な設備更新をご提案しました。
お客様からは、
「そうだよね。これなら正しい経営判断ができる。」
というお言葉をいただきました。
私は、この言葉がとても印象に残っています。
設備を守ることは重要です。
しかし、会社を守ることも同じくらい重要です。
必要なところにはしっかり投資する。
しかし、必要以上の投資はしない。
そして会社に資金を残す。
安全性と経営。
この両方を考えながら設備計画を作ることが大切だと思っています。
補助金についてのご相談もいただきました
最近は設備工事だけではなく、
「今回の設備投資で利用できる補助金はありませんか?」
というご相談もいただいています。
私たちは行政書士ではありませんので、補助金の申請業務そのものを行うことはできません。
ここは、できることとできないことを明確にお伝えしています。
しかし、
「申請できないから分かりません。」
で終わらせるのも違うと思っています。
先日も補助金についてご相談いただき、現在利用できる可能性のある制度について調べました。
その上で、
「このような制度が使える可能性があります。詳しい要件や申請については専門家とすり合わせながら進めてください。」
という形で情報提供を行いました。
最終的な制度適用の可否は専門家や制度の窓口に確認していただく必要があります。
それでも、設備を知っている私たちだからこそ提供できる情報があります。
それをできる限りお客様へお返ししたい。
私はそう考えています。
工事以外の相談にも、できる限り向き合いたい
私たちが目指しているのは、
「キュービクルを売る会社」
ではありません。
お客様の電気に関するお困りごとを解決する会社です。
低圧化。
キュービクル更新。
高圧新設。
PCB。
高圧ケーブル。
PAS。
LBS。
非常用発電設備。
補助金に関する情報。
そして、設備に付随する細かな電気工事。
相談内容はさまざまです。
私たちだけでは対応できないことも当然あります。
その場合には、できないことを曖昧にするのではなく、きちんとお伝えする。
その上で、私たちにできる情報提供やサポートがあれば、できる限り行う。
その姿勢を大切にしています。
「高圧を残すか、低圧にするか」から相談していただいて構いません
高圧受電設備について調べている方の中には、
「更新するかどうかも決まっていないのに相談していいのかな。」
と思われる方もいらっしゃると思います。
もちろん大丈夫です。
むしろ、決める前にご相談いただきたいと思っています。
高圧を更新する。
低圧化する。
一部だけ更新する。
段階的に更新する。
新しく高圧設備を導入する。
会社によって答えは違います。
最初から工事内容を決める必要はありません。
まず、
「現在どうなっているのか。」
「これから会社をどうしていきたいのか。」
この二つを整理する。
そこから設備について一緒に考えていけば良いと思っています。
電気設備の「かかりつけ医」のような存在へ
最近、低圧化、新設、設備更新、PCB、補助金など、本当にさまざまなご相談をいただくようになりました。
その一つひとつに向き合っていると、私たちが目指したい姿がより明確になります。
それは、
「電気設備のかかりつけ医」
のような存在です。
何かあったときだけではありません。
「ちょっと気になる。」
「これってどうなんだろう。」
「設備が古くなってきた。」
「電気代を見直したい。」
「事業を拡大する。」
「工場を新しく作る。」
そんなときに、
「まず相談してみよう。」
と思い出していただける存在でありたい。
そして相談していただいたからには、私たちが持っている知識、経験、情報を使って、できる限り力になりたいと思っています。
最後に
最近のご相談を振り返ると、
高圧から低圧へ変更する会社もあれば、新しく高圧設備を導入する会社もあります。
設備更新をする会社もあります。
段階的な更新を選択する会社もあります。
補助金を活用できないか検討する会社もあります。
答えは、一社一社違います。
だからこそ、私たちは「この工事を売りたい」という考え方ではなく、
「この会社にとって何が一番良いのか。」
を考える専門店でありたいと思っています。
必要な工事は、安全に。
価格は適正に。
納期もできる限りお客様のご希望に沿えるように。
そして工事が終わった後も、また何かあれば相談していただける関係をつくる。
その積み重ねが、私たちの価値になると考えています。
私たちはこれからも、日本のインフラを支える力として、技術だけではなく、提案力、情報力、対応力も磨き続けていきます。
高圧受電設備の更新、低圧化、新設、PCB、設備改修などでお困りのことがありましたら、まだ方向性が決まっていない段階でも構いません。
まずは現在のお困りごとをお聞かせください。
お客様が安心して電気を使い続けられること。
そして、納得して設備投資の判断ができること。
そこに少しでも貢献できれば、私たちにとってこれほど嬉しいことはありません。