今回は、高圧ケーブル交換の相見積もりで価格だけではなく確認したい5つのポイントを、実際の相談事例をもとにお伝えします。
代表の佐々木です。
最近、高圧ケーブルの張り替えについてのご相談が増えています。
特に多いのが、
「主任技術者から高圧ケーブルを交換した方がいいと言われた」
「見積もりも出てきたけれど、金額が大きいので相見積もりを取りたい」
というご相談です。
さらにお話を聞いていくと、
「高圧ケーブルだけではなく、これも交換した方がいい、あれも交換した方がいいと言われている」
「結局、どこまで今やる必要があるのか分からない」
というケースもあります。
これは当然だと思います。
普段、高圧設備を専門的に扱っていない経営者や設備担当者の方が、見積書だけを見て、
「これは今必要」
「これは来年でもいい」
と判断するのは簡単ではありません。
そこで今回は、実際に高圧設備の相談を受けている工事会社の立場から、高圧ケーブル交換の相見積もりで確認してほしいポイントをお伝えします。
■結論|高圧ケーブル交換の相見積もりは「総額」だけでは比較できません
最初に結論をお伝えします。
高圧ケーブル交換の相見積もりでは、
1.工事範囲 2.使用する材料・仕様 3.停電・復電を含む施工条件 4.関連設備の更新範囲 5.本当に今必要な工事なのか
まで確認してから比較することが大切です。
例えば、
A社 150万円 B社 200万円
という2つの見積もりがあったとしても、
「A社の方が50万円安い」
だけでは判断できません。
そもそも施工範囲が違えば、同じ工事の価格比較ではないからです。
相見積もりで重要なのは、
「同じ条件ならいくらなのか」
を確認することです。
■1.高圧ケーブル交換の「工事範囲」は同じですか?
まず確認したいのが工事範囲です。
一言で、
「高圧ケーブル交換工事」
と書いてあっても、現場によって施工内容は異なります。
どこからどこまで交換するのか。
既存設備をどこまで撤去するのか。
どのようなルートで施工するのか。
端末処理などをどこまで含んでいるのか。
必要な付帯作業が含まれているのか。
こうした条件が違えば、当然金額も変わります。
そのため、
「高い・安い」
を見る前に、
「同じ工事を見積もっているのか」
を確認してください。
■2.使用する材料や仕様は同じですか?
次に確認したいのが、材料や仕様です。
高圧ケーブルについても、必要となる仕様は現場条件によって変わります。
見積書に書かれている数量や仕様を確認せず、
総額だけで比較してしまうと、
「安いと思ってお願いしたら、そもそも比較条件が違っていた」
ということにもなりかねません。
分からなければ、工事会社に、
「この見積もりと同じ条件になっていますか?」
と聞いてしまっていいと思います。
専門用語をすべて理解する必要はありません。
むしろ私たち専門業者側が、違いを分かりやすく説明するべきだと思っています。
■3.停電を伴う工事だからこそ、施工条件も確認する
高圧受電設備の工事では、停電を伴うケースがあります。
法人のお客様にとっては、
「工事費がいくらなのか」
と同じくらい、
「事業への影響をどう抑えるのか」
が重要です。
工場。
倉庫。
事務所。
店舗。
施設。
建物の使われ方によって、停電できる日時や条件は異なります。
そのため、
工事日程。
停電時間。
復電までの流れ。
関係者との調整。
こうした施工条件まで含めて検討する必要があります。
単純な材料費と人工だけではなく、
「安全に停電工事を完了し、電気を復旧させる」
ところまでが工事です。
■4.「高圧ケーブル以外も交換」と言われたら、優先順位を確認する
最近のご相談で、私が特に重要だと感じているところです。
主任技術者などから、
「高圧ケーブルを交換した方がいい」
という指摘を受けた。
さらに、
「この設備も更新した方がいい」
「こちらも古くなっている」
と複数の設備について提案される。
結果として見積金額が大きくなり、
「全部やらないといけないのでしょうか?」
と弊社へ相談されるケースがあります。
もちろん、主任技術者からの指摘は、高圧設備を安全に維持するための大切な情報です。
だから私たちも、その指摘を軽視しません。
ただし、
「更新を検討した方がいい」
と、
「今すぐ交換する必要性が高い」
は分けて考えた方がいい場合があります。
■私が設備更新で使っている「緊急度×重要度」という考え方
私は設備更新を考えるとき、
「緊急度」と「重要度」
という2つの軸で整理することがあります。
まず、
【緊急度が高い × 重要度が高い】
設備状態などから早急な対応が必要で、問題が発生した場合の影響も大きい。
これは優先的に対応を検討します。
次に私が重要だと思っているのが、
【緊急度は低い × 重要度は高い】
です。
今すぐ交換する状態ではない。
しかし、その設備に問題が起きれば受電や事業継続に大きな影響が出る。
こうした設備は、
「まだ大丈夫だから何もしない」
ではなく、
「次の更新計画に入れる」
という考え方ができます。
今年は高圧ケーブル。
次年度は別の重要設備。
その次にキュービクル内の機器。
このように設備状態を確認しながら計画的に更新する。
そうすることで、安全性を考えながら、一度に大きな設備投資が集中することも抑えやすくなります。
■全部交換しないことが「安さ」ではありません
ここは誤解してほしくないところです。
弊社が、
「全部交換しなくてもいいですよ」
と言いたいわけではありません。
設備状態によっては、一括して更新した方が合理的な場合もあります。
重要なのは、
「安くするために工事を減らす」
ことではありません。
必要な工事はする。
しかし、
必要性が低い工事まで、何となく一緒に行わない。
ということです。
お客様が求めているのは、
「とにかく一番安い工事」
ではないと思っています。
安心・安全に電気を使える。
その上で、必要以上のお金を使わない。
私は、このバランスが重要だと考えています。
■5.相見積もりを取るなら「なぜ交換するのか」まで聞いてください
高圧ケーブル交換の相見積もりで、ぜひ確認してほしい質問があります。
「なぜ、この工事が必要なんですか?」
です。
さらに、
「なぜ今なんですか?」
「この工事をしない場合、どのようなリスクがありますか?」
「ほかに提案されている設備も、すべて同時に交換する必要がありますか?」
「段階的に更新する方法はありますか?」
こうした質問をしてみてください。
工事金額だけではなく、
「その工事を行う理由」
まで理解できれば、会社として判断しやすくなります。
■実際に「他社で工事できなくなった」という相談にも対応しました
最近、印象に残った高圧設備の案件があります。
お客様は別の電気工事会社へ、高圧ケーブルの張り替えなどを依頼していました。
ところが工事が近づいた段階で、
「対応できない」
という話になってしまったそうです。
そこで弊社へご相談いただきました。
現場や工事内容を確認し、弊社で対応し、工事を完了しました。
このような経験からも、
高圧設備工事では価格だけではなく、
「実際にその工事を安全に完了できるのか」
という部分も非常に重要だと感じています。
■相見積もりを取ること自体は悪いことではありません
弊社では、
「すでに別会社から見積もりが出ています」
というご相談でも問題ありません。
むしろ、高額な設備投資であれば、
「本当にこの内容でいいのか?」
と確認したくなるのは自然なことだと思います。
ただし、
安い会社を探すことだけを目的にするのではなく、
見積内容を理解するための相見積もり
として活用していただきたいと思っています。
例えば、
他社の見積書。
主任技術者からの指摘内容。
年次点検報告書。
設備図面。
こうした資料があれば、相談時に非常に参考になります。
■高圧ケーブルだけでなく「高圧を今後どうするか」まで考える場合もあります
さらに、設備が全体的に古くなっている場合には、
高圧ケーブル一本だけの話では終わらないことがあります。
高圧ケーブルを更新する。
キュービクル内の機器も今後更新する。
PASやUGSなどについても検討する。
そして将来的にはキュービクルそのものも更新する。
そうなると、
「今後も高圧受電を継続するのか?」
というところまで一度考えてもいい場合があります。
実際、弊社では最近、
高圧設備の更新をきっかけに低圧化を検討するご相談が増えています。
■高圧設備が古いからといって、必ず低圧化するわけでもありません
ここも重要です。
弊社では低圧化の相談が増えていますが、
低圧化を売りたいわけではありません。
低圧化すると、高圧設備の維持管理や将来的な更新負担を見直せる可能性があります。
一方で、電気の使い方によっては、低圧化後の電気料金が高くなる可能性もあります。
だから、
高圧を継続した場合。
低圧化した場合。
それぞれについて、
初期投資。
設備維持費。
電気料金。
将来の設備計画。
まで比較することが重要です。
実際、弊社では低圧化の工事だけでなく、新規キュービクルの新設工事も受注しています。
高圧が必要な会社には高圧。
低圧が適している会社には低圧。
答えは会社ごとに違います。
■相見積もりから「電気設備のかかりつけ医」へ
最近、嬉しい変化があります。
最初は、
「低圧化について相談したい」
というお問い合わせだったお客様から、
「実は別の拠点のキュービクルも古いんです」
「こちらの高圧設備についても見てほしい」
と相談していただくことがあります。
私は、これがPower Partnersの目指している関係です。
一回工事して終わりではない。
何か電気設備について困ったら、
「まず聞いてみよう」
と思っていただける。
工事を受注する前に、
まず相談相手になる。
そして必要な工事なら、責任を持って施工する。
そんな「電気設備のかかりつけ医」になりたいと思っています。
■高圧ケーブル交換の相見積もりで確認したい5つのポイント
最後にもう一度整理します。
高圧ケーブル交換の相見積もりでは、
1.工事範囲は同じか
2.材料・仕様は同じか
3.停電時間や施工条件は同じか
4.関連設備の更新範囲と優先順位は適切か
5.そもそも「なぜ今この工事が必要なのか」を説明してもらえるか
この5つを確認してみてください。
価格はもちろん重要です。
しかし、
「安いから」
だけで決めるのではなく、
「必要な工事を、適正な内容・価格で、安全に行えるか」
を見ることが大切だと思います。
■よくある質問
Q. 主任技術者から高圧ケーブル交換を勧められました。相見積もりを取ってもいいですか?
はい。既存の見積書や点検報告書などがあれば、内容を確認しながら工事範囲を整理できます。
Q. 他社の見積書を見てもらうことはできますか?
ご相談いただけます。単純な総額比較ではなく、工事範囲や仕様など、条件に違いがないか確認することが重要です。
Q. 高圧ケーブル以外の設備も交換するよう言われています。全部必要でしょうか?
設備状態によって異なるため一概には言えません。指摘内容を確認した上で、緊急度と重要度を整理し、優先順位を考えることが大切です。
Q. 高圧ケーブルだけ先に交換することはできますか?
設備構成や状態によって判断が異なります。段階的な更新が可能なケースもあれば、関連設備を同時に施工した方が合理的なケースもあります。現地確認や資料確認の上で判断します。
Q. 高圧設備全体が古い場合、低圧化も一緒に比較できますか?
はい。現在の電気使用状況、設備構成、今後の設備計画、供給条件などを確認し、高圧継続と低圧化を比較検討することができます。
■まとめ|相見積もりは「一番安い会社を探すため」だけではありません
高圧ケーブル交換の相談が増えている中で、私が感じていることがあります。
お客様が困っているのは、
「工事会社が見つからないこと」
だけではありません。
本当に困っているのは、
「何が正しいのか判断できないこと」
なのだと思います。
高圧ケーブルを交換してください。
この設備も交換してください。
こちらも古いです。
そして大きな見積書が届く。
専門家ではないお客様からすれば、
「全部やるしかないのかな」
と思ってしまいます。
だからこそ、私たちは工事会社として、
何が必要なのか。
なぜ必要なのか。
いつ必要なのか。
どこまで今回行うのか。
次に何を計画するのか。
そこまで説明できる存在でありたいと思っています。
安全のために必要な工事には、しっかりお金をかける。
しかし、必要以上の設備投資はしない。
そして会社に資金を残しながら、計画的に設備を守っていく。
それが、お客様にとって価値のある高圧設備の提案だと私は考えています。
「高圧ケーブルを交換するよう言われたけれど、この見積もりでいいのか分からない」
「複数の設備更新を勧められたけれど、どれからやればいいのか分からない」
そんな段階からでも構いません。
Power Partnersは、埼玉・川口を中心に、高圧設備についてお客様が納得して判断できるよう、一緒に整理するところからお手伝いします。